宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

ミュージック・ケア実践プログラム体験

 大洗「こどもの城」で開催された、ミュージック・ケアの合同勉強会に出席してきました。出席者としては楽しかったです。ただ、これを実践にどう活かすかは難しいと感じました。構成されたプログラムに参加するのと、自分でプログラムを組むことの距離は思っていた以上に「ある」と言うことです。

 認知症onlineで音楽療法士・佐藤由美子さんへのインタビューと、彼女がアメリカで行った重度アルツハイマー症の男性への音楽療法の動画を見て、改めて音楽の持つ力を感じました。音楽を聴くことと音楽療法は異なるとも述べられていました。そして、日本では音楽療法がはっきり定義されていないので、理解が深まらないことや、音楽療法士の資格の問題もあるとのこと。音楽療法士のスキルにばらつきがあり、専門職として確立される必要があると言われていました。

 私が勤めているデイでも、音楽を使ったりしますが、ただ本格的な使い方は出来ていません。今日のミュージック・ケアの合同勉強会でも、講師の吉田茂樹さんが強調していたのは、対象者の音楽への思いをつかむことからミュージック・ケアは始まるということ。佐藤さんも「ひとりひとりの患者さんにどの音楽や音楽活動を用いるか、アセスメント(事前評価)を通じて知ること」が一番大切だと述べていました。「この世代には、この音楽」と決めつけるのはよくない、とも。

 就学前の子どもが対象の場合、その発達段階やこれからの育ちに向けて使いたい音楽は、ある程度決まってくると思います。これは教育現場における教材一般に言えるでしょう。ただ高齢者の場合の難しさは、個別性の際立ちにあると言えます。それぞれの人生体験から生じる好みや「わかりの履歴」の厚みが、半端ではない。今日の勉強会でも言われていた「実践者の実践力や人間力」という言葉に、改めて原点を突き付けられた気がしています。

h-miya@concerto.plala.or.jp