宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

2025-01-01から1年間の記事一覧

『思想としての近代経済学』を読みながら

森嶋通夫さんの『思想としての近代経済学』を読んでいます。マルクスとエンゲルスの唯物史観が「謙虚な唯物史観」と書かれていて、なるほどと思いました。 ウェーバーの官僚制分析を巡る記述を読みながら、またまた納得しています。軍人や近代大企業でデスク…

グリーン・ニューディールの問題点2)絶対的デカップリングの不可能性

経済成長を維持しながら、気候対策も実現する政策提案が「グリーン・ニューディール」です。この言葉を最初に使ったのは、アメリカのジャーナリスト、トーマス・フリードマンと言われています。それを世界中の名だたる政治家たちが後押しをする、という構図…

『判断力批判』を読む 25)「崇高について」を考えながら

美の問題を扱っていたのに、なぜそこに崇高が入ってくるのか、あまりしっくりきません。カントは、イギリスのE・バーク『崇高と美の観念の起源』(1757年)に刺激されて、『美と崇高の感情に関する観察』(1764年)を書いています。まずこちらから読む方が…

「詐欺の手口と注意点」

ひたちなか警察署生活安全課の警察官の方をお呼びしての、15日のはまぎくカフェでの防犯のお話の最初は、詐欺の話でした。「オレオレ詐欺」は前からありましたが、今は、SNS型の投資詐欺やロマンス詐欺があります。「オレオレ詐欺」も「SNS・ビデオ通…

社会的影響

今日は昨日と一転、時々小雨の降る曇り空でした。昨日は少し暑いくらいでしたが、今日は寒々としています。 さて、社会的影響の部分を、授業で扱っています。社会的影響とは、個人間や集団間で、一方が他方の行動や感情や態度(物事への対応の準備態勢)を変…

『君たちはどう生きるか』概要とグループワーク

今や秋は短くなっているそうです。10月も半ばを過ぎて、漸く秋らしい陽気になってきました。この過ごし易さはいつまで続くのか。衣替えもしなければなりません。 授業で『君たちはどう生きるか』を使っています。この本は、山本有三編纂『日本少国民文庫』全…

フラとハワイアンバンド

27日の土曜日に、フラとハワイアンバントの演奏会をはまぎくカフェで開催しました。今年で4回目になりますが、「ホクラニ フラ スタジオ」所属のフラグループとハワイアンバンド「ペレモリオ&レアレア」の共演を楽しみました。 フラの衣装の美しさと動きの…

『判断力批判』を読む 24)趣味判断の第四様式「様態」

今日の風は涼しくなりましたが、まだまだムッとした熱気が日向では感じられます。風がないと結構暑さを感じます。夏の疲れが残っているのを感じますが、一時期の熱中症かなと思う症状は、改善しました。 さて、趣味判断の第四様式は、「様態(Modalität)」…

3.5%の社会変革

今日は昨日とは打って変わって涼しい風が吹いています。また14日は34℃予想が出ていますが、ちょっと一休みできています。 Taking a break gives me a moment to enjoy a scenery around me. 最近覚えた英語表現です。「休憩することで周りの景色を楽しむ瞬間…

南極生活

6日(土)に高校の地域同窓会がありました。南極から理科の授業を行った北澤佑子さんに来て頂き、南極での4カ月の生活の話を聞きました。北澤さんは第61次南極観測隊の同行者として、南極大陸へ行き、非常に貴重な体験をしました。その体験記も出版され…

水戸芸術館の理念とカントの天才論

カントの『判断力批判』の「崇高の分析論」の部分に天才論があります。芸術を判定する能力は趣味ですが、創作には天才が必要とされます。 天才とは、芸術に規則を与える才能(自然の賜物〔天分〕)のことである。ところでこの才能は、芸術家に生得の産出的能…

『星の王子様』

お盆過ぎても涼しくならないこの頃。『星の王子様』(サン=テグジュペリ作)では、サハラ砂漠を水を探して歩く場面があります。暑さと渇きの限界状況。大変だよなぁと感情移入してしまいます。 『星の王子様』を大分前に読んだときは、なんか不思議な物語だ…

和太鼓演奏

26日(火)に和太鼓クラブ『響雅』の演奏を聴きました。演奏を聴いた後に、私たちも叩かせてもらいましたが、やってみると演奏レベルの高さが実感できます。太鼓は叩けば音は出ますが、リズムを刻んだり、周りと合わせて音を出すというのはかなり大変だと思…

心が帰る場所

今日も曇り時々雨もようです。8日の日は、夕方、雷が鳴り、一時土砂降りの雨でした。近所のお宅や知り合いの家に最近雷が落ちた話を聞き、ちょっと怖かったです。その後は、曇りがちで、10日の日は九州の大雨。異常気象はこれからも続くわけで、対策しないと…

夏を生ける

久しぶりに花を生けました。生け花の集まりで使っていた場所が、改築で使えなくなり、しばらくお休みでした。グループの登録が出来て、場所をとることができ、再開できました。かつての公民館も使い方が変わってきています。場所にも依りますが、水戸市の場…

枝画制作

昨日のはまぎくカフェは、枝画の鑑賞と制作でした。自分でやってみて、絵を枝で作ることの難しさを実感しました。ドキンちゃんを作りたかったのですが、全然でした。でも先生は、面白い部分をほめてくれました。私としては、難しい課題を選び過ぎたと思って…

脱成長とはラディカルな潤沢さの回復

昨日の台風はそれほどではなく、ほっとしました。でも今日も雨模様。今年の梅雨はあまり雨が降らず、今日の雨は作物には恵みの雨です。 『人新世の「資本論」』の第6章でコミュニズムのある種の潤沢さ、ということに目を開かれました。脱成長は、現在の気候…

グリーン・ニューディールの問題点1)

梅雨は明けたのだろうか、と思わされるお天気です。時折の雷と雷雨が去れば梅雨明けと、天気予報では言っていますが。今週はまた雨模様の日が続きそうです。 『人新世の「資本論」』第2章は、「気候ケインズ主義の限界」です。そして、大きな政府から小さな…

地球と生産手段を<コモン>として取り戻すコミュニズム

今日は昨日と打って変わった晴れ。まだ梅雨は明けないようですが、晴れ間は嬉しいです。 『人新世の「資本論」』第四章冒頭で触れられているのが、<コモン>という概念です。これが、アメリカ型新自由主義とソ連型国有化の両方に対峙する「第三の道」を切り…

Andiamo:大須賀恵里ピアノ室内楽シリーズ~未来を嘱望される若者を迎えて~

22日の午後2時からの、佐川文庫木城館でのコンサートに行ってきました。大須賀恵里さんの語りとピアノ伴奏の素晴らしさ、吉田南さんの圧巻のヴァイオリン演奏を堪能してきました。 前半の最後の曲、ノルウェーの作曲家グリーグの「ヴァイオリン・ソナタ 第3…

「お話ししよう」

18日のはまぎくカフェは、身近な様々な問題をテーマに、グループに分かれてお話し会をしました。スタッフもそれぞれのグループに分かれて入りましたが、話のきっかけをスタッフから、と予定していましたが、必要のないグループもありました。既に皆さん、話…

進歩は正義か

朝ドラ『あんぱん』の戦争パートでは、やなせたかしの「ひっくり返らない正義」に至る戦争体験が描かれています。「正義は逆転する」というのは、特に第2次世界大戦を生きた世代には実感されたものだと思います。深刻な正義の逆転体験は、虚無主義や相対主…

そば粉のガレット

小雨降るお天気ですが、明日からはしばらくお天気回復傾向の予報です。来週には梅雨入りと言われています。五月晴れという感覚をあまり堪能することなく、6月になってしまいました。 さて、先月21日に、はまぎくカフェでそば粉を使ったガレット作りをやりま…

帝国的生活様式は負荷を外部化することで成立

『人新世の「資本論」』第一章では、資本主義のグローバル化と環境危機の関係性を理解することに力点が置かれています。産業革命によって人類の経済活動が地球システムに負荷を増やしていることがグラフ(25頁)で示されています。そして、グローバル化は、…

子どもの日

今日は子どもの日です。4月1日時点での15歳未満人口、子どもの数は前年より35万人少ない1366万人で、44年連続の減少です。総人口に占める子どもの割合の低さは、国際比較でもはっきりしているようです。人口4千万人以上の37ヶ国中36位で、日本より低いのは…

人新世(アントロポセン Anthropocene)

斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』を読み始めました。人新世(じんしんせい、ひとしんせい)という言葉は、あまり聞き慣れませんが、地質時代における現代を含む区分において提案されている呼び名です。 三畳紀、ジュラ紀とか白亜紀という区分は、恐竜の…

カントの天才論1

天才について考えていると、人間性との関係や常識との関係を考えてしまいます。カントは天才を芸術の領域に限定したと思います。他の分野に関してどう考えたか興味がありますが。今回は芸術を巡るカントの天才についての考え方を追ってみたいと思います。 カ…

風邪をこじらせ肺炎に

9日から咳が出始め、10日の夜から11日の朝にかけて、痰の絡む咳が酷くて目が覚めました。11日に薬をもらいましたが、寝てからの痰の絡む咳き込みは止まらず、寝不足になっていました。15日に再度受診して、喘息気味なのと肺に薄い影があるのでCTを撮って確…

沖縄の唄から

沖縄の唄で、安里屋ユンタがあります。これは竹富島(八重山列島)の労働歌(ユンタ)から来ています。この古謡を標準語で改作し(原曲の歌詞の直訳ではありません)、レコード化したものを「新安里屋ユンタ」とも言います。日本各地で知られているのは、こ…

転倒予防の二つの柱と沖縄の唄

27日のはまぎくカフェは、整形外科医の柳橋俊秀先生のお話と演奏でした。沖縄県名護市の病院勤務時代に、沖縄の民謡と出会い三線を弾きながら唄うようになったそうです。 平均寿命と健康寿命の差は、男性で8.52年、女性で11.69年です。そして、寝たきりに…

h-miya@concerto.plala.or.jp