宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

2017-01-01から1年間の記事一覧

2017年を振り返って

介護士としていろいろ体験した一年でした。ケアとは何かを改めて考えています。特に高齢者ケアの現場では、どういう日々を過ごしたいのかということは、いかに死に向き合うかであり、突き詰めると「生きるとは何か」、「人間とは何か」の問題になります。老…

お正月の花

28日、お正月の花を活け込みました。ストレチアが華やかです。自分では絶対にできない花材の選択です。中学生の頃指導して頂いた先生から紹介されて、東京で草月流の志村慶子先生について稽古していた頃、花材は教室が契約している花屋さんで、自分で選んで…

幸福をめぐって3)ベンサムの功利主義

ここのところお天気は良いのですが、風が強いです。日曜の夜中に結構雨が降ったようですが、空気は乾燥しています。 さて、功利主義的幸福観について考えてみます。功利主義は18世紀後半にジェレミー・ベンサムによって主張、社会改革運動の思想的背景になっ…

共感と受容

あと1週間で2017年が終わります。12月に入ってからは、本当にあっという間でした。年内の授業は、19日で終わりましたが、テレビの受像の乱れの対応などしていて、気が付いたら、24日です。 23日には佐川文庫木城館で、ヴァイオリンとピアノの素敵なコンサー…

『イングリッシュ・ペイシェント』

1996年に公開されたアメリカの映画。翌年の第69回アカデミー賞で最多12部門にノミネートされ、作品賞を含む最多9部門で受賞しています。原作は1992年にブッカー賞を受賞したマイケル・オンダーチェの小説『イギリス人の患者』です。 舞台は第2次大戦末期のイ…

幸福をめぐって2):「しあわせ」と感じること

夜寝る前に湯船に浸かって「しあわせ」と思います。こういう時、「幸福」という言葉は浮かんできません。「しあわせ」と「幸福」は微妙に異なる言葉です。快を感じているとき、「しあわせ」という語感がぴったり来ます。「幸福」は人生全体を視野に語られと…

エリクソンの自我発達論

エゴグラムはエリック・バーンの交流分析における自我状態から、弟子のジョン・デュセイがグラフ化を考えだしたものです。バーンはカナダ出身の精神科医ですが、エリック・エリクソンの教育分析を受け、2年間一緒に仕事をした仲でもありました。エリクソンと…

エゴグラム

今日は夕方いきなり強い雨降りになり、雷までなりました。すぐに雨は上がりましたが、ズボンのすそが濡れて、冷たかったです。 さて、エゴグラム。これはエリック・バーンが交流分析における自我状態をもとに、高弟のジョン・M・デュセイがグラフ化する方法…

幸福をめぐって1)

私たちは幸福になりたいと思って生きていると思います。ただ、あまりそのことを日常の中で考えていることはないでしょう。自分の信じることをやっていると、時につらい状況にも追いやられます。このところの相撲界の一連の出来事のニュースを見ていると、貴…

乾燥芋作り

昨日、デイで乾燥芋作りをしました。使った芋は紅はるかで、蒸したサツマイモの皮をヘラで剥くと、あめ色のしっとりした中味が出てきます。それを1センチ間隔にピアノ線を張った裁断機で、繊維を切らないように裁断し、すだれに広げて、7日間くらい風通しの…

『男はつらいよ』と日本人

日本人の人間関係をテーマにした回で、『男はつらいよ』の話をしました。そして授業の後半で、観られる部分まで観てもらいましたが、思ったより面白かった・全部今度観てみます、というような感想が結構ありました。 『男はつらいよ』は全48作、そして特別篇…

介護のトリビアリズムの意味

今日は疲れていたせいもあり、仕事の中での手順や、利用者さんの忘れ物対応ほか諸々のこまごましたことに、対応しきれませんでした。それって、トリビアルなことじゃ、と一瞬思いました。でも、生活はトリビアルなことで成り立っています。介護という仕事は…

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』

2014年12月3日にフランスで初上映された映画です。実話をもとに作られています。貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校で、教えるのが大好きだと言う歴史教師のアンヌ・ゲゲンが担任するクラスは、問題児たちが集まるクラスでした。彼女は、「アウシュ…

授業のワークを通して

20日に看護学校で、人間関係論の授業をしました。100人クラスでの授業は久しぶりで、結構疲れました。40人くらいだと、学生の反応が分かり、それに合わせて軌道修正ができますが、100人になると、初回ということもあり、最初の1時間は私が一方的に話すこと…

『アリス・イン・ワンダーランドー時間の旅』でちょっと英語を

『アリス・イン・ワンダーランド―時間の旅』をDVDで観ました。冒頭の海賊船を振り切って逃げ切るシーンで、アリスは有能な船長として航海していることが分かります。でも1870年代って、女性船長は忌避の対象ではなかったのかな。アリスは見事な采配を揮っ…

生活いきいきモデル

13日、結城市鹿窪にある「生きがいふれあいセンター」での介護予防教室に参加させてもらいました。主催は結城市役所長寿福祉課で、作業療法士の川口淳一さんが中心になって行っている、10回でワンクールの介護予防通所リハビリテーションです。川口さんの活…

奈良希愛 ピアノリ・サイタル

11日夜、佐川文庫木城館での「奈良希愛 ピアノ・リサイタル」を聴いてきました。奈良さんは、故中村紘子さんが音楽監督を務めていた浜松国際ピアノアカデミーの第1回生でもあります。プログラム最初のリスト「愛の夢」は、中村さんに捧げるショパン「エチュ…

シャドウ・ワーク

母を眼科に送ってから、用事を済ませ戻っても、まだ診療は終わっていませんでした。久しぶりに水戸のメインストリートを散歩し、気になっていたカフェで一息ついて戻ってからも、大分時間がかかりました。「花きゃべつ」でお昼を食べて、花木センターに寄り…

ノンバーバル・コミュニケーション

人間関係のシャドウ・ワークを書きながら、総合的に捉える訓練でしていたことは何かと考えました。それは、人間関係に関して言えば、セミバーバル・コミュニケーションやノンバーバル・コミュニケーションの訓練ではなかったか。セミバーバル・コミュニケー…

「11・3憲法のつどい」から:気づきのきっかけ

3日の「11・3憲法のつどい」では、筑波の小川先月さんをお招きして、「『脱原発』を茨城からはじめよう!」と題して対談と全体討論が行われました。参加者は90名弱くらいでしたが、全体討論にはいろいろな意見が出て、盛り上がりました。堂々巡りと捉える人…

人間関係のシャドウ・ワーク

東海村の元村議、田中順子さんが逝去されました。2年前に知り合いましたが、とても知的で芯の通った方でした。その頃もすでに体調はあまりよくありませんでしたが、ご一緒する機会が何度かあり、静かな話しぶりと暖かなお人柄、そしてその知性に敬意を感じて…

ナイトタイムエコノミー

今日はハロウィンです。ケルト人起源の、秋の収穫を祝い悪霊を払う祭だったのが、アメリカで民間行事として定着し、宗教色は無くなっていると言われます。子どもたちが仮装して、家々を回ってお菓子をもらう行事、くらいに私は記憶してました。何らかの宗教…

ミュージック・ケア実践プログラム体験

大洗「こどもの城」で開催された、ミュージック・ケアの合同勉強会に出席してきました。出席者としては楽しかったです。ただ、これを実践にどう活かすかは難しいと感じました。構成されたプログラムに参加するのと、自分でプログラムを組むことの距離は思っ…

衆院選を総括する新聞記事から

衆議院選挙が終わり、色々総括されています。東京新聞の25日、26日の「誤算の行方」は面白く読みました。記事は、民進党合流組の一部を「排除する」という発言を引き出したフリー記者の質問を、小池さんが避けた話から始まっていました。 この「排除」、実は…

ケア責任について

超大型台風21号はまさに衆院選を狙ったかのように、22日、日本列島に近づき、23日未明に静岡県に上陸し、関東地方を通過して、午後3時に北海道の東海上で熱帯低気圧に変わりました。午後からは晴れ間も出て、やっと長雨から解放された、という気持ち。 さて…

『怒れる12人の男』

『怒れる12人の男』を授業で使うので見直しました。このドラマは、30回以上観ています。原作はレジナルド・ローズ。1954年にアメリカのテレビドラマとして製作され、評判がよかったので1957年にそのリメイクとして映画になりました。私がもっぱら使ってい…

11・3憲法のつどい:「脱原発」を茨城からはじめよう!

昨日、「11・3 憲法のつどい」第4回実行委員会がありました。仕事場では、日常生活動作(ADL)に困難を抱える方たちとの時間で、日常生活を送る動作の問題――食事や排せつ――に注意を集中しています。打って変わって、夕方からの実行委員会では、脱原発を憲…

社会心理学

今日は社会心理学の2回目の授業です。社会心理学は社会学と心理学が合流したような分野です。心理学ですから、個人の心理領域に関する分野ですが、社会学の流れをくむ社会学的社会心理学と、心理学の流れをくむ心理学的社会心理学が最初は並立していたようで…

リベラリズム

現代において、「各人の自由・平等・幸福」というのは、総論賛成の当たり前だと思います。何をもって、という具体的な問題になると違いが出てきますが。 自由(リバティ)は、語源的には「主人ー奴隷関係からの解放」を意味するラテン語の「libertas」に由来…

衆院選への動き:リベラルの力

高齢になるとどうしても表情が厳しくなります。ところが、軽度認知症の方々は、柔らかなかわいらしさを保っています。健康状態や心的状態なども関わりますが、安定感が保たれる状況ができているときには、こういう穏やかな表情でいられるんだなあとこちらも…

h-miya@concerto.plala.or.jp