宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

知っていることは出来ること?

 今日は猛烈寒かったです。明日も寒いようです。晴れているのでまだ救われます。

 現在、発達障害児の療育に関わっています。応用分析学を療育に活かしている事業所で仕事をしていますが、応用分析の考え方はシンプルです。ただし、それを療育で使うことの大変さを実感しています。

 知っていることと出来ることとの違いは、分かっているようでいて、そうでもないのかもしれないと思います。

 応用行動分析は発達障害自閉症への療育に効果があると言われています。応用行動分析、ABA(Applied Behavior Analysis)はスキナーの行動分析学から展開したものです。従来の心理学が、個人の内的なものに注目したのに対して、行動分析学は個人と環境の相互関係に人の行動や心の動きのベースがあると考えます。ABAの手法を使う療育は、週当たりの一定時間以上を必要とするという研究結果も出ているようです。

 ABAは行動を理解するときに「A(Antecedent:先行事象)+B(Behavior:行動)=C(Consequence:結果)」という「ABCフレーム」で考えます。A「おもちゃ売り場に行く」+B「泣きわめく」=C「おもちゃを買ってもらえる」と言うことです。ある種、とても分かり易く、「だから何?」という見方も出てきます。

 日常的によくあることで、親だったら誰しも経験しているとも言えます。そこはそれぞれ、ほどほどに対処していると思います。時には頑として譲らない姿勢も見せつつ、時には「今日はいい子だったから」という理由を付けて買ってあげたり、と。まぁ、それで何となく済んでいる。それが理論と言われると、何となく肩透かしを食った気がするかもしれません。

 療育におけるABAのやり方は、常識的な対応(熟練した意味での常識)とも重なりますが、技法としては習得して身に付ける必要があります。望ましい結果をもたらすための一貫した方針のもと、対象者の観察と実践者の側の力量やその時の状況などへの判断に基づいて実践されます。

 まさにアリストテレスの中庸の徳が「しかるべき時に、しかるべき事柄について、しかるべき人に対して、しかるべき目的のために、しかるべき仕方で」美しく振る舞うことが出来ること、と言われていることを思い出します。

 応用分析学の考え方が分かるだけでは療育は出来ません。肝心なのは、それが実践できる力になっているかどうかです。教育学を知っていたら教育現場で即通用する力になるか、ということとパラレルです。個別に対応する力は、考え方が分かるだけでは十分ではないのです。

f:id:miyauchi135:20211227012641j:plain

          12月2日 那珂川縁で

h-miya@concerto.plala.or.jp