宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

人間の尊厳と自立1.

 これは介護福祉士の試験科目の一つです。私が最初に介護福祉士養成校で受け持った授業は、倫理学でした。1997年から2005年まで担当しましたが、次に2012年に再度受け持った時、担当科目名は「人間の尊厳と自立」になっていました。この科目名の仰々しさに圧倒された覚えがあります。「人間の尊厳」と言われると、やはりイマヌエル・カントに思いが行きつき、「自立」と言われると、自律・自立で人間の自由意志の問題との関係で、やはりカントに思いが行きます。「えー」と思ったことを覚えています。テキストが送られてきて、内容を見ていくと、憲法基本的人権思想をベースに展開されていました。

 授業科目の改正はカリキュラムの改正と関係があり、カリキュラムの改正は法律の改正と関りがあると思って、調べ始めました。始まりは、「人間の尊厳と自立」をどう教えるのか、それが今一つとらえきれていない、という思いからでした。「人間の尊厳」って何?という自分の中での問いです。自立というと、自由の問題、応用倫理系でいう自己決定権の問題というのは、ピンときます。しかし、認知症を発症している人を考えたとき、自立をどう捉えるのか、教えているときも迷いがありました。人間の尊厳、それを、どう伝えるのかその本質の部分の「言葉」が見つかりませんでした。今、直観しているのは、「みんなちがってみんないい」ということなのではということです。

 介護福祉士は、1987年5月26日に公布され、翌88年4月1日から施行された「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格です。介護福祉士の国家資格化は、「介護」の社会化の流れの中で必然性をもって生まれました。資格法制定時の介護福祉士養成カリキュラムでは、一般教育科目と専門科目とと実習(演習)に分かれていました。私の担当した倫理学は、一般教育科目に当たります。人文科学系、社会科学系、自然科学系、外国語又は保健体育のうちから4科目、120時間という枠での実施でした。

 その後、2007年に法律は大幅に改正され、①定義規定の見直し、②義務規定の見直し、③資格取得方法の見直し、④社会福祉士の任用・活用の見直しが行われました。2012年4月1日からは、喀痰吸引や経管栄養等の医療行為が、介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員にも実施できるようなりました。資格取得方法に関しても改正されています。

 法律の改正がカリキュラム改正にどう反映しているのか。「倫理学」(結構手ごたえを感じながら教えていました)が「人間の尊厳と自立」に変わった意味が、そこから見えてくるのか。そして、現場で自分なりに感じ取った「人間の尊厳」の「一言でいえば」(大学院時代の恩師が授業でよく発した質問です)が妥当かどうか、そこを検証してみたいと思っています。

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     「ご長寿クラブ高場」で利用者さんたちと一緒に作った壁画

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