宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

クラスター対策班に納得

 今日は風が吹き荒れています。雨はそれほどではありませんが、雨戸をガタガタ揺らす風の音が間断なく続いています。11日に日付が変わってすぐ位に、結構揺れる地震がありました。3.11再来かと一瞬思いました。それと同時に、今の時期、避難所に人が集まったら大変だなぁとも。

 11日の夜9時からのNHKスペシャル「新型コロナウィルス瀬戸際の攻防~感染拡大阻止最前線からの報告~」に、見入ってしまいました。見る予定はなかったのですが、そして次の日の仕事を考えるとさっさと片づけて寝なければならなかったのですが。クラスター対策班が2月25日に設置されていたことなど知りませんでした。見終わって、3密を避けるや外出自粛、8割接触減の要請の背景が分かり、漸く納得しました。

 対策班のリーダー、押谷仁さんの「新型コロナウィルスはウィルスの生き残り戦略としては非常に賢い」という言葉が印象に残っています。軽症や無症状などのすそ野が広く、封じ込めの難しさがあり、感染している人間がウィルスの伝播浸透を知らずに助けているわけです。ある種不気味さを感じます。

 このウィルスはSARSウィルスと似ていて、感染者一人当たりが生み出す二次感染者の数にはかなりのばらつきがあるようです。ほとんどの人は(約8割は重症軽症関係なく)他の人にウィルスを伝染させない。ただ、空気のよどんだ閉鎖空間では爆発的に感染が拡大しています。クラスター(患者集団)が発生して、それが他のクラスターと連鎖することでオーバーシュート(感染爆発)が起きると、制御不可能になると言うのです。

 4月3日に発表されたクラスター対策班の西浦博さんの見通しでは、流行対策を何もしなければ感染者は指数関数的に伸びて、制御不可能になるそうです。自粛の呼びかけで、3日時点では20%位の接触減少があったようですが、それでは感染の伸びを数日遅らせる効果しかなく、これを80%減らすことができれば、1カ月ぐらいで感染者が激減し、後はクラスター対策で対処可能になるというものです。ここでは新型コロナウィルスの基本再生産数をドイツ並みの2.5として、シミュレーションしています。

 ワクチンができるまでは、オーバーシュートをどうやって防ぐかと言ったら、確かに人間同士の接触を極力減らすしかないわけです。私たちの生活でのコミュニケーションの意味の大きさを、改めて確認する日々になっています。

 ただ、子どもの間での感染はほとんど起こらないという知見は、小中学校の休校要請が出た時点で出ていたようです。それでも学校閉鎖が政策として打ち出されました。これは政府内に、新型インフルエンザ(子どもの間で感染が広がり、高齢者にうつるという構造)の時の行動計画があって、それが自然と政策オプションの中に入ってしまったのだろうと、西浦さんは説明しています。

 希望が持てるのは、現在の専門家会議の議論は建設的になっていて、国民のリスクに対する捉え方も、2009年の新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)のときとは、だいぶ異なっているということです。西浦さんは「比較的に対応準備が可能な状態で流行が起こったと思う」と述べています。

 人との接触制限80%を目標に、かつ、経済的に疲弊しきらないようにしながら、今を乗り切るしかなさそうです。

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           2020.3.31の護国神社の桜。せめて写真で気分転換

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