宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

『判断力批判』を読む 14)趣味判断を4つのモメントから考察

 「趣味とは、美を判定する能力である」と趣味が定義されています。そしてその趣味判断を4つのモメントから考察しますが、それは、論理学の4つのモメントに沿っています。質・量・関係・様相。趣味判断は、認識ではないと言われているのに、なぜ認識判断の表に従うのか。

 認識判断ではないが、構想力や悟性という認識能力に関わるからと言われます。構想力とは、英語だとimagination、想像力の事なのですが、カントでは「構想力」と訳す慣習があります。三木清の「悟性と感性とを結合する」構想力、という使い方を連想させる言葉のようです。

 つまり、人間ならだれもが持っている認識能力を行使して判断がされるので、判断の4つのモメントに沿って考察されている、ということです。たまたま、誰かがその判断をしたとして、それは万人の持つ認識能力を誰かが行使したということで、他の誰かがその能力を使っても同じことが言われるということです。

          2021年4月21日撮影

h-miya@concerto.plala.or.jp