宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

インクルーシブ

 19日の「はまぎくカフェ」で、「パプリカ」を歌いましたが、そのときに「Foorin楽団」の動画紹介がありました。「Foorin楽団」は、「Foorin」と病気や障害のある子どもたち10人が結成したバンドです。「Foorin」の5人にはそれぞれ担当の子どもたちがいます。例えば、「Foorin楽団」のみさきさんは、聴覚障害を持っています。彼女は、手話を取り入れた手歌を、「Foorin」の歌を担当するもえのさんと披露してくれていました。彼女は、楽団みんなの身体の動きやアイコンタクトで音楽を感じることができるそうです。この「Foorin楽団」は、それぞれの特性をいかしたインクルーシブサウンドと銘打って紹介されています。

 みさきさんはとても楽しかった、と手話で言っていました。もえのさんは、みさきさんのことをもっと知りたいけど、どうしていいかもどかしいと言っていました。この動画を紹介してくれたスタッフが、この子どもたちが育ったとき、社会が変わっているという希望を感じたと言っていました。

 インクルーシブという表現は、「排除的・排他的」の反対の意味の言葉です。さらに単に「統合(integration)」というただ障害者を受け入れるだけの状態ではなく、障がいを持っていてもありのままの状態で社会に存在できるように変えることを意味しています。何を変えるのか。社会の環境や障害を持たない者の生活や意識変化が必要なら変えるということです。

 インクルーシブという表現が国際社会で公的に用いられたのは、1994年の「サラマンカ宣言」においてと言われています。この宣言は、ユネスコとスペインが共催した「特別な教育的ニーズ世界会議」で出されたものです。教育の分野でインクルーシブという表現が主として使われてきましたが、それは究極のところインクルーシブ社会の実現を目指す教育ということです。

 「Foorin楽団」の「パプリカ」は、そういう実践の一例と言えます。お題目でなく、共生することを楽しさの中で経験すること。そういう経験を積み重ねることがインクルーシブ社会を作り上げていくのだと感じます。 

h-miya@concerto.plala.or.jp