宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

生きているということ、共に生きるということ

 新型コロナ感染の勢いが収まりません。マスクと手洗いの習慣のおかげか、インフルエンザの流行は聞きませんが、寒くなっていく時期なので、先が読めません。ご近似所の方が突然亡くなり、一寸先は闇、予測が難しいのが人生だなぁと、改めて思い知らされています。86歳での逝去は、一般的には早くはないのでしょうが、お元気だっただけに知らせを聞いたときは、「寝耳に水」でした。確かに癌を患って、何度か手術をなさってはいましたが、「生涯現役」を地で行っていた方だっただけに、衝撃でした。棺にお花入れをしながら、生きている時と変わらないお顔を見て、「命って何なのだろう」と思いました。長患いされることなく旅立たれたことは、ご家族にとってせめてもの救いだと思っています。

 土曜日に北澤佑子さんのお話をオンライン中継で聞く機会がありました。北澤さんは県立守谷高校の生物の先生です。昨年11月から4か月間、教員の南極派遣プログラムで南極観測隊に同行しました。3度目の挑戦で念願の同行のチャンスを手に入れた北澤さんは、南極からオンラインで、南極の自然や隊員の生活を届ける授業をしました。生きることにいつも一生懸命で、素直に周りに感謝の気持ちを伝えることのできる人です。彼女の生きる姿勢は、5歳年下の難病を抱えた妹さんとの生活の中で培われたようです。彼女は、南極に行って「共に生きる」という思いをさらに強く持ったようです。それを「南極魂」と呼んでいました。

 生きているうちに擦り切れてしまいがちな、見知らぬ人たちへ思いをかけること。こんな言葉を衒いなく言えるまっすぐさに、素直に拍手を送ると同時に、南極という極限的状況に思いを馳せました。南極は地球の窓で、その変化によって地球全体の異変が確認できるそうです。宇宙飛行士は、宇宙に出ることで神秘的体験をする、と以前読んだ気がします。大きな「命」への畏怖の念のようなものでしょうか。そういうことを忘れて生きているのは幸せと言えば幸せなのでしょうが、時に生きていることの不思議に心打たれることも必要な気がします。どうでもいいような小さな煩いごとに振り回されている自分に、気づかされます。

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            北澤さんの「南極魂」のまとめ

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