6日(土)に高校の地域同窓会がありました。南極から理科の授業を行った北澤佑子さんに来て頂き、南極での4カ月の生活の話を聞きました。北澤さんは第61次南極観測隊の同行者として、南極大陸へ行き、非常に貴重な体験をしました。その体験記も出版されています。
「南極へは『吠える南緯40度,狂う50度,叫ぶ60度』といわれる荒れ狂う海域を通過しなければならない」という状態が1週間くらい続くそうです。そこを通り抜けると「しらせ」はラミング航法(バックして氷に乗り上げ砕氷する航法)を何度か繰り返して大陸へ着岸しますが、大陸迄たどり着けないこともある。かなり燃料を喰うので、操縦する海上自衛官たちは綿密に計算を繰り返しながら操縦していたそうです。
私たちは、電気でも食料・水でもあまり自覚なく使っています。南極ではそれらが制限され、極限的生活の中で資源を大切にするとはどういうことか、仲間と協力しないと生きていけないとはどういうことかを、体験したということです。私たちの日常生活での災害状況をイメージすると少し分かる気がしました。南極へ行く前の訓練の中で、隊長から「南極はいつでも死ねるところ、我々はそこへ行く」と言われたそうです。彼女はこの言葉で覚悟が決まったそうですが、実際に大陸での生活はそれを実感させてくれました。トイレへ行くのも命がけ、というよう状況は身が引き締まるなんてものではないですよね。
金曜日はカレーライスの日だそうですが、これも他の日に出た野菜の余り部分などを使い切るためです。これも以前は生活の中でやっていたなぁ。お皿を汚さないようプレートに敷物をするとか、お風呂の水を全部入れ替えるのは1週間に一回で、漬けだれを足すように水を足す(ここで聞いていた女性たちが思わず笑っていました)そうです。何人で一つの湯舟を使うかは聞き忘れましたが、髪を洗うのも3日に一回くらい。
大学時代、文化人類学の研究者でアフリカを専門にしていた先生は、「僕はお風呂嫌いなので1カ月に一回です」と言っていた言葉を思い出しました。そのとき、内心「えー」でしたが、私たちの生活では水をふんだんに使っています。これも贅沢と言えばいえるのですね。砂漠で生活する部族の生活が出てくる映画を見ていた時、水は本当に大切にされていました。
見せてもらったオーロラの写真は素晴らしかったです。白一色の氷の世界も美しかった。ミイラ化したアザラシ(少なくとも数百年前のもの)と並んで写っている写真を見せてもらい、ペンギンの鳴き声も聞かせてもらいました。ただそこで生活することは大変なことです。北澤さんは、なぜそれほどまでに南極に惹きつけられたのか。筑波大学大学院のときに、南極観測隊に参加した教授の講義を受けたことと、国立極地研究所に関する記事で「南極は科学も育てるが、人間も育てる」という言葉を読んだことが大きかったそうです。
3度目の挑戦で同行者の切符を手に入れた北澤さん。一番つらかったことは何かという質問に、「行けると決まってからは、怪我をしてはいけない・インフルエンザに罹ってはいけない・虫歯を作ってはいけない、というこの3つには細心の注意を払いました」とのこと。南極には感染症の菌を持ち込んではいけないし、歯医者さんがいないので虫歯になったら、我慢するか自分で歯を抜くかしかないそうです。皆さんガムを噛んでいたとか。これもびっくりです。
自然との共存には、人間があまり快適な生活をしていては難しいのでしょうね。

2023年8月28日撮影。会場近くの海岸