宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

急いではいけない

 認知症と明らかに分かる人と、一見分からない人といます。認知症と分かる人の場合、その反応のし方の、ある意味理不尽さにも、病気なんだからと了解できます。ただそうでない場合、おそらく本人には理由がある反応のし方に、こちらが傷つくことがあります。突然表情が変わって、ぷいっと席を立たれたりすると、驚きと同時にずしんと響くものがあります。

 その前の一連の流れを思い返すと、本人が納得いかないまま、分からないまま何かをさせられているという苛立ちなのかもしれないと思い当たりました。他の人に画面が見えるように、もう少し席を移動してほしいというこちら側の依頼も、なぜそれをさせられるのかが自分でははっきり分からないうちに、椅子を移動させられて、ということから来ていたのかもしれません。ゆっくり説明して、移動を納得してもらって、自分で動いてもらう、という手順が上手く行かなかった。急きたてられている感じがして、苛立ったのでしょう。

 映像が始まっていたので、こちらも急いでしまいました。でも、認知症状が出ているというのは、周りの状況を見て判断するというようなことが困難になっているわけですから、スケジュールを組むとき、目いっぱい時間を使う形にならないよう、よくよく考える必要があると感じました。

 訳の分からない反応への驚きは、こうして書きながら振り返ってみると、見えてくるものがありました。

h-miya@concerto.plala.or.jp