宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

今生きること

 明日から4月です。でも明日はまた寒いという予報。

 25日の春合宿の参加者の方からの感想をメーリスで読ませていただきながら、いろいろ考えています。私は認知症初期の方の介護の現場にいるので、作業療法士の川口淳一さんの活動について知ることができたのは、大きな収穫でした。

 認知症状を持つ方たちは、記憶に混乱が起きています。今がいつなのか、かなりあいまいになって来ている方も多いのですが、デイでは皆さんそのことにそれほどショックを示されません。他の方もそうだ、と分かるからでしょうか。自分のしたことや言ったことを忘れてしまえる。されたことも忘れてしまえる。皆さんは今「に」生きていると感じます。そのことに救われる思いがします。毎回、私は皆さんと新しく「出あって」います。それは皆さんが、そういう態度で私に向き合ってくれるから。対他関係で、相手に対する自分の印象記憶を忘れることができると言うのは、すごいことだと思います。

 認知症状を持つ方たちは、主体的に今「を」生きることには困難を持っています。そこを周りにいる私たちがフォローできれば、皆さんは穏やかに笑顔で生活してゆけるのではないでしょうか。生活のリズムを作ることや健康を維持するやり方を、具体的に一緒にやってゆくことで、今「に」立ち竦まないようにする。そうできれば、思いもかけない楽しい応答をしてくれます。

 5年先の自分をイメージして、とか10年先の成りたい自分から「今」の自分の課題が分かります、というようなことがよく言われます。成程なのですが、それに囚われすぎると、今・ここがおろそかになる気がします。社会システムの構築の場合は、確かに10年先を見越したプログラム作成が必要だと思います。ただ、一人ひとりの生き方や生活では、「今」に集中する(今「を」生きる)ことは心を解放することでもあると思います。

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h-miya@concerto.plala.or.jp