宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

おしゃべりの効用

 20日の「はまぎくカフェ」は、「すごろくトーキング」でした。「すごろく」のシート作りをしていた時は、面白いだろうとは思いましたが、これほど盛り上がるとは思いませんでした。一人がサイコロを振ってシートのマスの質問に答えると、それにかぶせるように他のメンバーが話していました。30分という時間を区切りましたが、なかなかコマが進まず、時間を10分延長しました。それでも上がりには程遠い状態。思い出や自分の考えていることを語ることの豊かさを、参加者の皆さんが感じていたと思います。

 認知症予防におけるおしゃべりの効用は、よく聞きます。ただ、漫然としたおしゃべりは、話している人だけの快感で終わっているのかもしれません。すごろくを介することで、あまり話さないことも話せたと思います。

 「これまでの一番の恐怖体験」のマスで、「小学生のとき頭虱を退治するためDDTを頭から散布された」話をしてくれた人がいました。映像で見たことはありますが、実際の体験談を聴くのは初めてです。映像が身近なものになりました。映像で見たときは、ああそういうこともやったんだ、くらいに捉えていました。そのときの、子どもたちの気持ちまでは推測できませんでした。

 おしゃべりは、ちょっとした仕掛けで、誰でも参加できる遊びにできます。話すこと自体が苦手な人も、周りが興味をもって質問すると、ちゃんと答えてくれるし、ご本人も自然に話していました。私たちが苦手なのは、実感を持った体験ではないことへの質問に答えることなのかもしれません。

 すごろく・トーキングは、おしゃべりのテーマ化の手法だと思います。テーマがないと話し難いと感じる人には有効だし、おしゃべりが好きな人にも話の輪を広げるのに役に立つなと感じました。

正保春彦著『心を育てるグループワーク』(金子書房)の「スゴロク・トーキング」を参考に、質問項目は自分たちでかなり変えました。正保さんの「インプロ・ゲームと表現」という茨城大学公開講座に、2019年に参加したとき購入した本を参考にしました。この講座では、2日間ワーク漬けで、最初はどうなることかと思いましたが、途中から皆さん夢中で「遊んで」いました。

h-miya@concerto.plala.or.jp