宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

『アリス・イン・ワンダーランドー時間の旅』でちょっと英語を

 『アリス・イン・ワンダーランド―時間の旅』をDVDで観ました。冒頭の海賊船を振り切って逃げ切るシーンで、アリスは有能な船長として航海していることが分かります。でも1870年代って、女性船長は忌避の対象ではなかったのかな。アリスは見事な采配を揮っていましたが。

 この映画は、興行成績が振るわなかったようです。ただ、私は面白く観ました。最初の海賊船から逃げ切る場面での言葉、「不可能を可能にする方法はただ一つ、信じることよ」と、最後の頃にタイムに謝りながら、父親の想い出の言葉「他人のための行いにのみ価値がある」を伝える場面では、後から字幕を英語に切り替えて英文を書きとめてしまいました。

 The only way to achieve the impossible is to believe it is possible.

   He used to say the only thing worth doing was what we do for others.

 「不可能を可能にする」は英語だとどう表現するのかなと思って、英語からは聞き取れなかったので英語字幕に切り替えて見たら、「to achieve the impossible 」でした。 impossible には「とてもありえない、信じがたい」という意味があります。よく映画で英語を勉強したと聞きますが、なるほどと感激。それにしても、日本語字幕の訳のうまさにも舌を巻きます。下の文章は、私だったら「価値ある唯一のことは、私たちが他の人のためになすこと」というような訳をしてしまいます。

 映像もよくできていたと思います。クロノスフィアを作動させて、時を遡る場面とかアンダーワールドが錆び付いていく場面の、錆に追いかけられて、アリスも固まったかと思った最後の瞬間、一滴のような電磁波が力を振り絞るように放たれて、一気に溶けていく。まあ、構想としてはそうだろうなあと思いますが、その映像表現には見入りました。

 確かに、このタイムの支配する時間の王国は、無機質なロボットのようなものの世界なので、ちょっと『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』の世界とは異質です。前作で活躍していたキャラクターがあまり生かされていなかったのは事実。それとジョニー・ディップ演じるマッドハッターが、今回は悲しみに捉われている設定で、ジョニー・ディップの演技も精彩を欠いていたとも。そういうところにも、続編を待望していた人たちの不満があるようです。続編は難しいと言いますね。

h-miya@concerto.plala.or.jp