立春の昨日(2月4日)、佐川文庫ホールで開催されたチェ・ソンジンのピアノ・リサイタルを聴いてきました。素晴らしいという言葉しか、出てきませんでした。
21歳という若さからくるエネルギーと圧倒的なテクニック、思索的とも言える表現力と繊細なまでの音の美しさ。彼は佐川文庫が好きだと聞きましたが、後半になるほどに彼の音楽の世界がどんどん私たちをのめり込ませる力を増してゆくのを感じました。場所(トポス)の力と彼の力がシンクロしてゆく感じでした。
当日のプログラム:モーツァルト ロンド イ単調 K.511
あまりなじみのない曲ばかりですが、どの曲も高い集中力と繊細さ、そして渾身の力で演奏することを要求されるような曲ばかり。洗面所であった年配の知らない女性が、泣いてしまったと言っていました。
私もこういう音楽が生まれでてくる場面に居合わせたことに、鳥肌が立ちました。天才はいる。私がピアニスト志望であったら、嫉妬したと思いました。
宮内 ひさこ