第50回の衆院総選挙(9日解散、27日選挙)が終わり、自民・公明両党の与党は215議席で過半数(233)を獲得できませんでした。立憲民主党は躍進して、改選前の98議席から148議席へと増加。
民主党は2009年8月30日の第45回衆院総選挙で自民党に圧勝(308議席対115議席)し政権与党に着きましたが、わずか3年で終焉。今回の立憲民主党の議席数は、148なので、まあ自民党にお灸をすえたという感じでしょうか。有権者側も自民党の裏金問題にはあきれ果てましたが、さてでは野党でどこに政権を託したらいいかと考えた時、めぼしい投票先がなかった感があります。
今回の裏金問題他にも統一教会問題もあり、どちらもうやむや感が残っています。長期政権の腐敗は避けられない。今回政治をめぐるお金の問題に、ペンの力(ジャーナリズム)と法律で立ち向かったという構図でしょうか。
今回の裏金問題は、政治資金パーティー収入をめぐる問題でした。政治資金としては政党助成金がまずあります。これは国民一人当たり年間250円負担で総額約300億円が、議員数と過去2回の衆参両院の選挙の得票数で割り当てられます。2016年の場合、自由民主党は約172億円配分されています。その他の政治資金として、寄付や政治資金パーティー券の場合、政治資金報告書への記載義務があります。報告書には、寄付の場合は一か所から5万円以上、パーティ券の場合は20万円以上の場合、氏名住所を記載しなければなりません。寄付に関しては政治家個人にはできません。この政治資金報告書は3年間閲覧できます。
問題の発覚は、2022年11月に『しんぶん 赤旗』が自民党の5派閥の政治資金パーティー券購入の不記載をスクープしたことから始まりました。このときコメントを求められた、神戸学院大学教授の上脇博之さん(憲法)が、政治資金報告書を閲覧して独自の調査結果から、政治資金規正法違反の告発状を東京地検に提出します。彼が書き続けた告発状のことを、2023年11月2日に読売新聞が報道(会員限定記事)、次に11月18日にNHKが報道して、派閥の裏金づくりの問題が全国的に知られるようになりました。
裏金問題では、議員側がノルマを超えた分をキックバックされたり、議員側が中抜きするなど、関係者の証言から明らかにされました。記載しないお金の流れは、本当に危うい。当事者たちは、みんなでやれば怖くない麻痺状態だったのでしょう。ただし、知られたらまずいことは分かっていた。岸田派では、使途不明金は2018年からの3年間で3000万円とされますが、議員個人へのキックバックはなかったとされています。一番多かったのは安倍派で、5年間で約5億円のキックバックがあり、これは派閥側から政治資金収支報告書に記載しないよう指示があったと言われます。
今回の選挙では、この問題への新総裁石破茂さんの姿勢が批判を受けたわけです。かつダメ押しが、公認の有無にかかわらず候補者の党支部に2000万円を支給したことでした。この感覚のずれ、「開いた口が塞がらない」。何にも考えずにマニュアルで動いている感がします。
9月7日の「再読あの言葉」(『東京新聞』)に、1992年地球サミット「伝説のスピーチ」の要旨が載っていました。セヴァン・スズキさんが12歳の時に国連の地球サミットで行ったものです。
子どもですが知っています。戦争に費やすお金で環境や貧困問題を解決し、平和条約が結べたら地球はどんな素晴らしい場所になるかを。
何にどうお金を使うのか。力を持つものはその力を維持することにお金を使いたがりますが、日本規模・地球規模・宇宙規模で考えてお金を使わないと人類は滅びます。そう、マクロではみんな分かっているのです。にもかかわらずミクロ(マイクロ)になるや色々言い訳しながら、自分や自分たちにだけ都合よく動いてしまう。これも社会的ジレンマです。
2024.10.27「第4回 能面展」