宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)

 WBCが終わりました。準決勝、決勝は、手に汗を握る展開。どちらもダメかな、と思っていたら勝っていた、という嬉しい顛末。野球は家族が見るので見ていたくらいで、それほど詳しくはないし、他のスポーツもしかり。でも、選手たちのベンチを含めた一挙手一投足、表情を見ていると、凝縮した人間ドラマを見ているようで目が離せませんでした。

 大谷翔平の名前はもちろんその人となりや活躍は、以前から報道である程度知っていました。でも、これだけじっくりその凄さを、解説付きで見たのは初めて。強化試合で、膝をつきながらスリーランホームランを打ったのを見たときは、なにこれ、でした。

 決勝戦9回表で、マウンドに立っている大谷翔平の表情は、インタビュー時に見せる表情とは打って変わった厳しいものでした。トラウトが翔平は闘志むき出しだった、というようなことを言ったようですが、まさにそういう表情。

 メジャーリーグはもう直に開幕。大谷は30日の開幕投手が決まっていて、24日のオープン戦でも調整で投げる予定だそうです。準決勝以降の登板は、エンゼルスが許さないだろうと予測されていました。

 これに対して、エンゼルスでの同僚でもあるトラウトとの対決は、エンゼルス側も容認したという記事がありました。エンゼルスの本拠地カリフォルニア州オレンジ郡の地元紙『オレンジ・カウンティ』には、ネビン監督の次のようなコメントが載っていたようです。

エンゼルスのネビン監督の「世界で最も優れた2人の選手の対決を見たくない人がいるだろうか。実現したら、私たちは今年の残りの期間、この話題で楽しめるんだ」というコメントを紹介。(『読売新聞オンライン』2023.3.22)

 24日の調整は負担の少ないマイナーの試合などに変更可能とのこと。みんなが待ち望んた対決だったようです。

 日本の投手陣は今回、安心して見ていられました。準々決勝のイタリア戦で、伊藤大海(日本ハム)が5回救援登板で押さえ切った姿や最終回抑えの大勢(巨人)の安定感。これはもしかしたら優勝もありかも、と思いました。でもやはり、準決勝、決勝は結構きつかったです。

 野球人口は、世界的に見ると第5位にも入っていない、ということを今回初めて知りました。バレーボール人口が一番多くて、次がバスケットボール。卓球、クリケット、サッカーと続きます。日本では一位がサッカーで、次が野球です。どうしてこういうことが気になったかというと、大会の名前のクラシックの意味は何だろうと思ったためです。

 クラシックというと、クラシック音楽がまず思い浮かびます。西洋の伝統的な作曲技法や演奏法に基づく音楽です。時代的には1550年頃から1900年頃までですが、同じ流れに属するものはそれ以前のものもそれ以後のものも、クラシック音楽と言われるようです。クラシック音楽という用語は、19世紀まではありませんでした。バッハやベートーベンの時代の音楽を復活させる試みの中で、出てきたものです。オックスフォード英語辞典でクラシック音楽に言及されたのは、1836年です。

 ちょっと話がずれました。WBCのC、クラシックは、「(スポーツの)伝統的行事、由緒ある試合」(小学館英和中辞典)から来ています。ベースボールを世界規模の由緒ある試合としての世界大会にしていきたい、という意図が込められているようです。WBCは2006年が第1回で、主催はMLB(アメリメジャーリーグ)機構・MLB選手会です。そこから生じてくるさまざまな問題があります。利益配分や開催時期(メジャーリーグ開催直前)、準決勝・決勝がアメリカで行われること等大会運営の仕方の問題。これらがどう解決されていくのかによって、WBCが広がって定着していくかどうか決まるようです。

 試合自体は熱狂を巻き起こしました。ただ、時期や場所をめぐる問題や利益をめぐる問題など、調整の難しい問題をどう解決していくのか。大人の感覚が要求されています。

16日の変形花器を使った生け花。スイトピー、ラナンキュラスコデマリ、ドラセナ。

     下のラナンキュラスの根元の緑は、名前を忘れました。

h-miya@concerto.plala.or.jp