宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

那珂のひなまつり

 4日に、那珂総合公園にある那珂市歴史民俗資料館に行ってきました。「第15回 那珂のひなまつり」を見るためです。2017年に一度行った記憶があります。那珂市の曲がり屋のひなまつりを見たときに、足を延ばしました。コロナで2021年の開催は中止になりましたが、昨年はやっていたようです。

           2023年3月4日 那珂市歴史民俗資料館にて

 圧巻のつるし飾り。この辺りでは、つるし雛という言い方をしています。でもお雛様をつるしているわけではなく、飾り物をつるしています。人型などもつるしているようではありますが。

 つるし雛の風習は全国でも珍しいようです。静岡県では「雛のつるし飾り」、福岡県では「さげもん」、山形県では「傘福」と呼ばれます。庶民には手の届かなかった雛人形の代わりに、縁起物を布の切れ端で作って持ち寄って飾ったようです。どの地域も江戸時代後期に始まったと言われています。

 ひな祭りは上巳の節句と言われます。節は季節の節目のこと。中国の唐時代に定められた暦の陰陽五行説から来ています。ひな祭り(上巳の節句、3月3日)は、五節句節供)の一つです。五節句とは、同じ奇数が重なる日です。1月7日(人日じんじつ)、3月3日(上巳じょうし)、5月5日(端午たんご)、7月7日(七夕しちせき)、9月9日(重陽ちょうよう)のことです。人日が1月7日なのは、1月1日は元旦で特別な日だからです。

 陰陽五行説では、奇数は縁起のいい陽数で、偶数は縁起の悪い陰数です。そして、奇数が並ぶと足して偶数になってしまうので、不吉な縁起の悪い日になってしまいます。それで、邪気払いが必要になると考えられました。また、「節供」は季節のごちそうを意味しますので、奇数の重なる旧暦の日に、季節の食べ物を食べて、滋養を付け、邪気を払う習慣がありました。季節の変わり目は体調を崩しやすいことから来ているようです。

 3月3日は、もともとは、女の子のための行事の日ではありませんでした。300年頃に中国で起こった「上巳節」が始まりです。上巳とは、旧暦3月の最初の巳の日ですが、巳の日は年によって異なるので、魏晋から上巳は3月3日に固定されたようです。この上巳節が遣唐使によって日本に伝えられ、天子のための禊の神事と結びついて、平安時代宮中行事になっていきます。これが江戸時代に武家社会に広がって、「上巳の節句」が五節句の一つに定められて、5月5日が端午の節句で男の子の節句、3月3日は女の子の節句になったようです。

 

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