宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

Andiamo:大須賀恵理ピアノ室内楽コンサート

 27日(土)に佐川文庫木城館でコンサートがありました。大須賀恵理さんのピアノ室内楽シリーズ「Andiamo(ともに歩もう)part2」です。若手演奏家を支援する構成になっています。大須賀さんのインタヴュー記事を読むと、音楽にはその人の人間性が出る、ということを大切にされていることが分かります。そして、沢山の人からの支援で実現できた音楽家としての活動を、これからは若手を育てることにも広げたいという思いが、語られていました。

 コンサートでの大須賀さんの話し方の中にも、若手を育てようという思いと音楽への思いが表れていて、ふくよかなお人柄が感じられ、音楽という音を楽しむ時間を堪能しました。

 毛利文香さん(ヴァイオリン)と田原綾子さん(ヴィオラ)のお二人との共演でした。最初は毛利文香さんとベートーヴェンの「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第2番 イ長調 Op.12-2」が演奏され、次に田原綾子さんとシューベルトの「アルペジオーネ ソナタ イ短調 D.821」が演奏されました。休憩を挟んで、若手お二人によるモーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 第2番 K.424」のアンサンブル。最後に三人でシューマンの「おとぎ話 Op.132」が演奏されました。

 アンコール曲は「皆さんのよくご存じのトロイメライを弾かせて頂きます」という大須賀さんのアナウンスで、耳に心地よい「音楽」で締めくくられました。

 クラシック音楽の世界についてよく知らないということを、佐川文庫のコンサートに行く度に知らされます。沢山の賞の名前や有名な作曲家の膨大な数にのぼる曲に、驚かされます。一般の教育の中ではそれほど詳しいことには触れられないし、マスメディアがクラシック音楽について喧伝することもありません。となると、専門にやろうとする人か音楽愛好家の教養の範疇になります。

 古典芸能や伝統芸能、演劇や絵画なども含めた教養としての文化の維持の問題は、そもそも文化や教養の役割は何か、ということから始まるのだろうと思います。「楽しむ」ということの人間が生きることの中での意味。超高齢社会というのは、「楽しみ方を深める」という意味を捉え直す機会なのかもしれません。

 

      会場の夏の花                   木城館の庭側から 

h-miya@concerto.plala.or.jp