19日の午後、佐川文庫木城館で、北村朋幹(ともき)さんのピアノリサイタルがありました。夕方から雨の予報があったようですが、演奏会の最後の頃に雨が降り始めました。「話す予定はなかったのですが」と言いながら、マイクを持った北村さんがドイツの教会での演奏会のときにも雨が降った話をしてくれました。コロナの影響で、そのコンサートは、オープンエアのコンサートになったそうです。演奏の途中から雨が降り始め、観客の人たちはどうするのかなと見ていたら、皆さん傘をさっと取り出し、ピアノと演奏者だけが雨に濡れた、というエピソード。「ここは屋根があって良かったです」には、会場から笑いが起こりました。
北村さんは、16年前に14歳で、佐川文庫のホールでコンサートデビューをしたそうです。中村紘子さんの勧めだったとか。現在は、フランクフルト音楽・舞台芸術大学で歴史的奏法の研究に取り組んでいます。中村紘子さんへの感謝の思いを、生存中には伝えられなかったという心残りを吐露されました。
演奏会では、ベートーヴェンの晩年の三つのピアノ・ソナタ(第30番、第31番、第32番)が演奏されました。どの曲も思索的な雰囲気と抒情性があって、ベートーヴェンの三大ソナタと言われる「悲愴」(第8番)、「月光」(第14番)、「熱情」(第23番)とは趣が異なっていました。私は「テンペスト」(第17番)も好きで、特に第3楽章が有名ですが、ときどき聴きたくなります。演奏者によって、微妙に異なります。
30番も31番、32番も、耳が完全に聞こえない中で作曲されています。ベートーヴェンは、何を聴いていたのでしょうか。
当日のプログラムから 演奏ステージのピアノと桜
3月17日の弘道館公園の梅