宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

TOKYO2020

 23日金曜日からオリンピックが始まりました。コロナ感染拡大下でのオリンピック開催には、賛否両論あります。翌日の午前中に、開会式のビデオ映像が放映されていたのを、偶々見ました。ちょうど聖火リレー王貞治さん、長嶋茂雄さん、松井秀喜さんが登場したシーンでした。医療従事者へ聖火を繋いだときに、長嶋さんが笑顔になったシーンには、思わずこみ上げるものがありました。長嶋さんのオリンピックへの強い思いが表れていました。

 長嶋さんは2004年アテネ五輪の野球日本代表の監督でしたが、直前に脳梗塞で倒れました。一時は命も危ぶまれ、寝たきりになるかもしれないとまで言われた長嶋さん。彼の現場復帰のための凄まじいリハビリはよく知られています。「なぜそこまでできるのか?」という問いに、「諦めた人生なんて面白くないじゃないですか」と長嶋さんは答えたそうです。それをまざまざと見せてくれた長嶋さんの聖火ランナー姿でした。

 また、聖火台のデザインと点火されるとき5枚のパネルが花が開くように開いた佇まいにも、息をのみました。野村萬斎さんのコンセプト「太陽の下に皆が集い、皆が平等の存在であり、皆がエネルギーを得る」に基づいたデザインだそうです。炎の燃料には、次世代エネルギーとして注目されている水素エネルギーが使われています。水素は福島県の施設で製造されたものです。水素を製造する工程で使われる電力は、太陽光発電で賄われています。水素は燃焼時に無色透明の炎を出します。これに炭酸ナトリウムによる炎色反応によって明るい橙色に着色されています。パネルの製造、内部の駆動部の防水性と耐火性、耐熱性、スムーズな動きを実現するための微調整等々。そして、動作中のパネル同士のすれ違い幅は最も狭い箇所で3㎜以下だとか。ちょっとすごい技術ですよね。

 他にも、MISIAさんの「君が代」独唱の圧倒的声量、ピクトグラム50のパフォーマンス、そして柔道男子60キロ級で金メダルを獲得した高藤直寿さんの、勝利インタビューへの感動など、オリンピックが生むドラマ。オリンピックがそれだけの力を発揮するのは、多くの人を巻き込み、そこに賭けられた想いの強さの結晶だからなのでしょう。    

 技術的には先端はもっと進んでいると思います。ただ、要は使い方、何を表現するか、それが人に感動を与えることが出来るかどうかなのではないでしょうか。コロナ感染拡大下でのオリンピック・パラリンピックです。その意味は、恐らく何年か後、いえ、何十年か後に徐々に明らかになるのでしょう。57年前の東京オリンピックは、いまだに振り返る毎に、思いを新たにしている人がいると思います。かく言う私もその一人です。あの頃は10月開催でした。開会式で学校が早く終わっての帰り道を、なぜかよく覚えています。

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           ドローンによって夜空に浮かんだ地球儀

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