宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

レクリエーションとインプロゲーム

 インプロゲームの即興性は、認知症の人の方が得意かもしれないなぁ、なんて思います。理屈で考える通常の大人度の高い人は、インプロゲームは苦手で、つまらない内容になってしまいます。もちろん自分の殻を破るのには、いい訓練になります。

 ワンワードというゲームがあります。これは一人が一回に一語ずつ話して、お話を作って行くゲームです。最初の人が、「昔々」というと、次の人が、「あるところに」、そしてその次の人が、「女の子が」、次の人が「いました」というように続けます。1回の時間3分から5分くらいで、グルグル回します。いつの間にか、自分が思っていた話と、大体ずれて行って、「えー」という話になっています。これが面白いのですが、認知症の人の持つ論理の崩れは、むしろ、こういうインプロゲームには優位に働くかも、なんて思います。

 私たちのやっている多世代サロンでもゲームをやろうという話になっていて、こういうゲームもちょこっと入れると活気づくかなと思います。私たちもかなり忘れっぽくなってきていて、あまり理詰めで考えなくなってきています。

 インプロゲームは、子どもたちの心の成長を促すグループワークの技法の一つです。インプロは即興のことですが、ここでのインプロとは即興演劇のこと。即興演劇は、台本なしで、その場の当意即妙の応答で創作します。インプロゲームはそのためのトレーニングゲームです。相手をよく見ること、相手の言葉をよく聞くこと、自分の言葉をはっきり話すこと、ジェスチャーを使って自分の言いたいことを伝えること等を、訓練するためのトレーニングゲームです。

 インプロでは瞬間ごとに新たなストーリーが紡ぎ出されます。そのために必要なことが、まず、何かを提供すること(オファー)とそれを肯定し(イエス)、それに何かを付け加える(アンド)ことです。これらがインプロの屋台骨と言われます。

 インプロゲームの講習会(2日続き)に一度だけ出たことがあります。昨年も参加したかったのですが、コロナで講習会が開かれませんでした。最初は、戸惑っていた人たち(私もそうでした)が、だんだん、感覚を全開にして相手を見ながらプラス反応で応答する面白さに嵌っていきます。ゲームでないと、大人がここまで相手を「見る」ことはないなぁ、とつくづく思いました。

 「ハレとケ」という生活を活性化する二分構造を、妙に納得しました。

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              至る所に春が

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