宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

人間の自立

  私たちは生まれてから一人で生きていけるようになるまで、かなりの時間がかかります。では、一人で生きていけるというのはどういうことか。生活費を稼いで経済的に自立できること、と仮に定義します。ただ、その前に、日常生活の自立があります。これは自分の日常生活を、自分でコントロールして、健康に生活できることです。ADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)はここに関わっています。

 社会生活自立は、社会の中で何かの役割を果たせている状態です。仕事をしていることだけでなく、地域社会や家族という単位の中で役割を担って実践している状態です。

 経済的自立は、自分の稼ぎで、あるいは遺産や年金などの自分の財産によって「経済的」に「自立」していることです。一人前になる、とか、一人前の大人として自立して生活しているというのは、まあ、この部分を言うことが多いです。

 精神的自立というのもあるでしょう。これはどういうことでしょうか。一番わかりにくい気がします。自分のことを自分で決められる力でしょうか。一人の時間を楽しめる力でしょうか。極度の依存心を持たないこと、ということは言える気がします。ただ、上手に人に頼れる力も精神的自立に含まれると思います。孤独に強いが、孤立はしない力?

 こう考えただけでも、一人前になるというのはなかなか大変なことです。そしてその獲得には集団が関わっています。この群れで獲得する力、それは群れでなければ獲得できませんが、そもそもなぜ私たちは群れて生活するのでしょうか。 

 人間が群れて生活するというのは、生得的なものかどうか。人間が自立できるまでに、私たちはかなり他の人たちの力を借ります。人間は人間の中で育つ、というとき、狼少女の話が一時よく取り上げられました。現在この話には、いろいろ疑問が出ているようです。授乳の問題や移動の問題で、乳児や幼児が狼と共同生活できるとは考えられないとの指摘があります。人間の社会性は生得的かどうか、次にそれを考えます。

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                 ハマギク

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