宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」

 9月もほぼ半分過ぎました。何をやっていたのかなぁ、と振り返ってみると、「はまぎくカフェ」の申請書の訂正をして、自分の原稿の校正をして、5日、6日は介護の仕事をしていました。あとは撮りためていた連載ドラマやプレバトを見ていました。今日は、久しぶりに『男はつらいよ』シリーズの第29作目を見ましたが、いしだあゆみがマドンナ役で、ちょっと余韻の残る展開でした。

 寅さんはいつも振られているわけではありません。10作目の八千草薫、第11作・15作・25作・48作の浅丘ルリ子、27作目の松坂慶子、29作目のいしだあゆみは、寅さんに対して女として好意を示します。でも、寅さんは引いてしまって、恋は成就しません。なぜ、寅さんは自分も好きなのに相手の好意を受け入れることが出来ないのか。一人の女性と人生を歩む「覚悟」ができないから、と誰かが書いていました。

 引き受ける覚悟というのは、その他の可能性を諦める覚悟なのかもしれません。風来坊の寅さんは、風の向くまま気の向くまま生きていたい、という思いを捨てられない。彼は常民と流浪の民の橋渡しのような存在ですが、「帰る場所がある」ので安心して我儘な生き方をしています。葛飾柴又帝釈天門前の草団子屋「とらや」の叔父夫婦や妹さくらたちは、寅さんを迷惑だとか恥ずかしいと言いながらも、帰りを待っています。旅先で出会う人たちも、寅さんのとことん能天気なノリを楽しんでいます。

 『男はつらいよ』の国民的ヒットは、パターン化されていて安心して見ていられる人情喜劇であることと、寅さんのような生き方に、私たちがどこかで開放感を感じるからなのかもしれません。寅さんの立ち姿はとてもきれいで絵になります。そして、寅さんが時に示す人間に対する深い理解。

 例えば、第5作目の望郷編で、かつて世話になったテキ屋の親分が危篤になり、息子に会いたいというので迎えに行きます。その息子は会うことを拒否しましたが、彼の言い分に耳を傾ける寅さんの表情や言葉にそれが現れていました。瞬間に見せる豊かな人間性と、日ごろの「おバカ」な言動とのギャップ。こういう部分にも、人気の秘密があるのかもしれません。

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