宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

遊びの効用

 利用者さんたちが自分の力に合ったレクリエーションを楽しむことを、最近、確認しました。テーブルの上をボールを転がすことを、飽かずに30分以上やり続けます。脳梗塞の後遺症で、右手が上手く動かない方も、右手を使ってボールを転がします。ご本人のやる気があると、こういう行動が可能になるのだと分かりました。ただ気をつけなければいけないことがあって、それは力を揃える必要があるということです。

 遊びの効用に関しては、三好春樹さんや竹内孝仁さんたちが提唱し、実践をしてきています。高齢者が死亡する場合、いわゆる3大死因の癌や心臓病、脳血管障害というのではなく、風邪をこじらせて心不全になってということが多いようです。心筋梗塞とかではなく、風邪をこじらせて肺炎や気管支炎を起こして、長い間寝ているうちに心不全になって亡くなるということのようです。

 ということは、風邪をこじらせない体力があるかどうか問題なのです。体力には、筋力、バランス力、耐久力、免疫力などが考えられます。バランス力はどうも維持が難しいらしく、歳とともに落ちていくようです。

 ではこの体力をどうやれば維持できるか。若い人のスポーツ理論によると、2週間に1回、持っている筋力を全部発揮すれば機能は低下しない、と言われています。そのまま高齢者に 当てはまるかどうかわかりませんが、でも2週間に1回、ハアハアいうような運動の場があれば、機能は低下しないと考えると、デイサービスやデイケアでレクリエーションをやることの意味が了解できます。

 また、免疫を司る脳の部分と、情緒を司る部分は同じだそうです。情緒が豊かになるほどに免疫力がつくわけです。だから笑いが重要だということになります。これは脳科学で明らかになる前から、現場や生活の中で実感として感じられて来ています。

 竹内孝仁さんは『遊びリテーション』の中で、次のように書いています。

「人間にとって『遊びの世界』こそが本質的な世界であり、そこは人間性を養い、精神の調和をはかり、再び『仕事の世界』に出かけていく体制を整えていく場であると言えよう」(15頁)

 レクで生き生きとする高齢者に接していると、遊ぶ子どもから始まって、私たちにとっての遊びの大切さ、豊かさを改めて実感します。そして、私ももっと遊ぼうと思います。

h-miya@concerto.plala.or.jp