宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

日常生活の中に溢れる知らないこと

 今年の12月は、例年になく暖かく過ぎてきました。今日、漸くリビングにこたつを作りました。いつもは遅くとも、11月の初めにはこたつを作っていたので、今年は例外的に遅かったです。12月にあった職場の研修会を欠席したので、レポートを書いていました。医療介護における安全推進研究大会、という研修会でしたが、資料だけではやはり分かりにくかったです。ただ与薬エラーの問題に関するレポートを書いて、薬の問題をもっときちんと理解しないとまずいなぁ、と改めて思いました。

 介護の現場で与薬というのはありませんが、服薬介助はあります。基本デイの場合、利用者さんが持参した薬を、昼食前か昼食後に出して飲んでもらいます。薬情書は月毎に出してもらっていて、昼食時の服用がない人でも、朝晩の薬の情報はもらっています。持ってくるのを忘れることは時たまありますが、そのときはご家族に確認して、飲まなくても大丈夫な場合はそのままにします。

 利用者さんが飲まれている薬は整理しておく必要があるなぁ。やはり薬剤師さんに何回か、薬の基本を教えてもらいたいと思っています。特に服薬、貼付や塗布することの多い薬についてと、そのとき気をつけるべきことを。

 私が今一番分からないのは、入浴後の塗り薬です。肌がかさつく人が多いので、保湿クリームなどを持ってくる人にはもちろんそれを塗ります。医者に処方されている塗り薬に何種類かある場合、塗る場所、塗り方や塗る順序がありますが、それらがいちいちメモされているわけではないので、知っている介護士や看護師に聞きながらやっています。これも基本的な症状(赤くなっているのが斑点状か広がっているかなど)にどれを使うかを理解することと、薬の強さも理解しておく必要を感じています。

 介護の仕事を通して、日常生活の中にある技能や情報の多さに今更ながらに気づかされています。あまりきちんと知らなくても、通常の生活は何となく回っています。小さい頃からやってきたことや大人たちから言われてきたことなどに従いながら。こういうのも暗黙の知なのでしょうね。一つひとつに目をやると、なんとまあ知らないことが多いことか。ふと、「神は細部に宿りたもう」という言葉を思い出しました。

 美術史家のワールブルクが残したといわれる言葉ですが、彼がこの言葉の創始者かどうかは、分かりません。通常は、良い作品は細部にまで神経が行き届かなければならない、というような意味だったと思います。細部とは末端ではないと言われます。真実への道を知らせるある種の通路のようなもの。これも考え始めると、分からなくなりますが。

 日常生活というものは、慣れないと回らない世界ですが、慣れてしまうとありきたりになってしまいます。でも、そこにはいろいろな謎が満ち溢れています。

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