宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

香港の一国二制度

 今日の新聞で、香港補選へのアグネス・チョウ(周庭)さんの立候補が認められなかった、という記事を読みました。彼女は民主派政党「香港衆志」から立候補しました。この政党は、独立派より穏健とされる「民主自決派」ですが、党綱領が香港基本法に抵触するということのようです。「香港は中国の不可分の一部」(香港基本法)に対し、「香港衆志」は「一国二制度」終了後の政治体制は住民投票などで決める「民主自決」を綱領に掲げています。アグネスさんはこれからは市民活動の総指揮役になるそうです。

 香港映画を2002年頃に集中的に観ていました。香港ノワールとして日本でもブームになっていましたが、私はもう少しコメディータッチのものを観ていた覚えがあります。ジョン・ウー監督の制作した『男たちの挽歌』シリーズが、香港ノワールの元祖的作品です。チョウ・ユンファ、故レスリー・チャントニー・レオンアンソニー・ウォン、そしてアンディ・ラウブルース・リージャッキー・チェンは絶対に外せないのでしょうが、私は彼らの作品はあまり見ていません。そう言えば、香港映画にはまっていた頃、香港へ行ってみたいなあと思っていました。

 さて一国二制度について少し。この制度は、1970年代末に台湾問題を平和的解決するために、鄧小平氏が提案したと言われています。1997年にイギリスから返還された香港で初めて制度として導入され、返還後50年間は香港に、外交と防衛を除く、「高度な自治」が保証されました。しかし、中国政府による香港の選挙や言論の自由への干渉に抗議する市民デモが多発しています。アグネスさんたちのデモはこの動きの代表的なものです。

 「民主主義は歴史の真理」と言ったのはオルテガ・イ・ガセットですが、これから香港はどういう道を歩むのでしょうか。雨傘運動に対しても、香港の有識者や有名人の反応は一様ではないようです。2047年に向けて、香港は動いています。

h-miya@concerto.plala.or.jp