宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

「11・3憲法のつどい」から:気づきのきっかけ

 3日の「11・3憲法のつどい」では、筑波の小川先月さんをお招きして、「『脱原発』を茨城からはじめよう!」と題して対談と全体討論が行われました。参加者は90名弱くらいでしたが、全体討論にはいろいろな意見が出て、盛り上がりました。堂々巡りと捉える人もいれば、いや収穫があったし、現実にどう動くべきか示唆をもらったという人もいました。

 小川先月さんが、自分の気づきのきっかけを語ってくれました。それはチェルノブイリから1年たったころのNHK特集だったそうです。北欧でトナカイを飼う仕事をしていた男性(レイさん)の、事故から2年目の体内被曝量と、その娘の体内被曝量を知って衝撃を受けたことが、脱原発運動を始めたきっかけでした。レイさんの放射性セシウムの体内蓄積量は15000ベクレルで、当時の日本人の平均の500倍、食べ物に気を付けていた娘のサラさんが3000ベクレル。もう一人一緒に活動している江口肇(NPO法人自然薯クラブ)さんのきっかけは、2011年3月に出荷できなかったホウレン草を片付けながら涙が止まらなかったことだとか。

 私自身は、介護士として働き始めて火事の避難訓練をしたときに、逃げられない人が大勢いることをはっきり認識したことを以前に書きました。小川さんが言っていたように、それぞれの気づきを丁寧に語り合うことが、次の一歩につながっていくのだと思います。ああ怖いな、嫌だな、危ないなと思っても、それを避けるあるいは止めるために実際に何ができるかを考え始めるのは、自分に深いところでぶち当たってくる何かがあった時なのだと思います。

 それぞれの気づきのきっかけには、それぞれの「わかりの履歴」が現れています。そこを丁寧に語りあうことが、実践への一歩を踏み出すための力をそれぞれに与えてくれる気がします。他人を動かそうとしたり、他人の期待に応えようとしたりしても、それでは社会的問題解決への動きは本当の意味では出てこない。一人ひとりが自分の心の声に耳を澄ますこと、他の人の内側から出てくる声に耳を澄ますこと、そういうことの積み重ねが、回り道のようですが、一番確実な問題解決への道のような気がします。

h-miya@concerto.plala.or.jp