宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

カキツバタを活ける

 カキツバタを活けてきました。池坊の「生花正風体(しょうかしょうふうたい)」の様式です。いけばなは室町時代前期に、聖徳太子創建と云われる六角堂の僧侶、池坊専慶のさす花へ注目が集まるとともに始まりました。神の依代や仏前供花を超えた花の生け方に、「いけばな」文化が成立したと言われます。

 生花正風体は明治時代に成立した様式だそうです。普通の座敷の床の間に活ける小型のいけばなです。正風体は、真・副・体(万物の基盤である天・地・人)で構成します。中学生の頃、そして大学院時代に草月流を習いました。草月流では、真・副・控でした。

 生花(しょうか)は、立花が大広間などの公的な場に用いられたのに対して、私的な場に活けられた生け花でした。最初は様式を持たない、私たちが普通に花を花瓶に生けるような、そういう生け花だったようです。ちょっと息抜きの生け花だったと言っていいと思います。

 小座敷の普及に伴い、江戸時代中期に格式を持った床の間用の活け方として生まれ、普及しました。江戸後期には、生花に三つの役枝が決まり、型が整い、明治時代には正風体と呼ばれる手本が示され、習いやすく教えやすくなりました。でも、やってみると難しいですが。

 1977年には、池坊専永さんによって現代の生活に合った形の「生花新風体」が発表されています。生花(しょうか)の基本である、草木の命が現れ出る出生の美に注目する、それぞれの個性に注目することを守りつつ、より自由に活けるということらしいです。立花は自然の調和を重視した活け方だそうです。生花の基本とは、活ける人の個性を前面に出す自由花と違って、また草木の調和を重視する立花とも異なって、草木それぞれの個性を際立たせる活け方のことかと思います。創りすぎてはいけないということでしょうか。

 生花(しょうか)は確かに自然な草木それぞれを生かした様式美を感じさせる活け方です。私の活けた花がそうなっているかどうかは、クエスチョンですが。

   f:id:miyauchi135:20170525104511j:plain

 

h-miya@concerto.plala.or.jp