宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

自立支援としての介護とは?

 現在、介護は自立支援と言われ、本人の自己決定権を重視することを基本に置きます。でも自己決定権、これってとても大変なことです。確かに、一人ひとりが大切にされるには、各人の選択・決定が重視される必要があります。しかし、選択・決定には、情報とそれを処理する能力が必要です。自己決定権はそれほど簡単に言われていいのか、違和感があります。自立支援ってそもそも何か。自立支援イコール自己決定権重視、というような言われ方をしている気がします。

 居宅介護であれば、本人のこれまでの生活のベースがあるので、「何を食べたいか・何をしたいか・何を着たいか」の選択・決定は、本人に聞けばある程度分かります。本人が馴染んでいる状況設定なので。

 これが施設介護の場合、施設側が用意した中で、本人の要望を出来るだけ適える形になります。しかし、利用者さんにとっては、施設側が用意したものを理解し、選択・決定するのは、結構大変なのではないでしょうか。また施設側も、何を何のために用意するのか、そのレベルをどうするかなど。

 そもそも施設は何のためにあるのか。家ではできないことをするため?あるいは家族が看られないから。「今の学校は子どもの一時預かり所になっている」と言った校長先生がいたようですが、介護施設も一時預かり所になっていないか、問われる必要があります。どちらも一時預かり所になってしまうのは、社会から切り離された避難所のようになっているからではないでしょうか。「出番がない」という状態は、手持ち無沙汰なものです。

 自立支援を取りあえず、本人が望む生活を、出来るだけ自分の力で出来るように支援する、と捉えます。そうすると、介護が自立支援なら、特に高齢者ほど、なじみの環境の中での生活を支援をする必要があるのではないでしょうか。これは手間がかかります。かつそれを施設でどう実現するのか、となるとまた難しいことはわかります。

 また、本人の望む生活自体を社会に位置づける形でどう捉えてゆくのか、これも難問です。

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