22日に「憲法の集い」実行委員会があり、座談的に憲法改正の話が出ました。改憲にあたって、いきなり自民党草案が前面には出てこないにしても、自民党草案にもっと一般の人たちが関心を持つ必要があると思います。
人数が多くなるほど、多数決が正しい判断を担保する可能性は高くなる、という陪審定理について、前回書きました。ただし立法の多数決に関しては、問題は簡単ではありません。そもそも多数決は、サイクルという構造的難点を抱えていると言われます。これについてはまた別に書きたいと思います。
改憲問題に関して、改正条項である96条をもっと厳しくする必要がある、という『多数決を疑う』で坂井豊貴さんが披歴する見解に、私自身は納得するものがあります。現在の改正条項では、衆参両院の総議員数3分の2以上の賛成で発議でき、国民投票では過半数で可決されます。重要な法改正の多数決は本来満場一致が望ましいですが、それでは厳しすぎる。しかし、2択の過半数では、潜在的他の選択肢との比較関係の中でサイクルが生じてしまう。それを防ぐには、可決が63.2%を超せばいい、これを64%ルールというそうです。
2014年12月の衆議院選挙で、自民党は全国の投票者のうち約48%の支持で、約76%の議席を取りました。小選挙区制はこういうことが起き易くなっています。ということは少なくとも衆議院の3分の2以上の議席は、過半数以下の有権者によって与えられています。そして、参議院選挙もかなり小選挙区制寄りになってきていると言われます。憲法96条は、実質的に、多数決の過半数をとれば改憲が可能になるように変質させられていると言ってよいようです。
そこで、多数決の持つサイクルという構造的難点をクリアするには、64%ルールにのっとり、改憲の国民投票でも3分の2以上の賛成を必要とする、とすべきだとの坂井さんの意見になるほどと思っています。
12月の水戸駅北口 水戸の街(南町3丁目から県庁方面を望む)