宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

格差をめぐって

 昨日、12月4日に開催する「福島からの避難者の交流会」の打ち合わせの後、しばらくおしゃべりが続きました。色々話している中で、私が日本の格差問題でジニ係数の話を出しました。フィナンシャル・プランナーの知り合いから、日本のジニ係数民主党政権時代に上昇し、今は横ばいだと聞いたと。出席者の中から、違うんじゃないという意見が出ました。今も上昇してるよと。

 気になったので調べてみました。ジニ係数というのは、格差を捉える代表的な指標です。所得の不平等を示す数字ですが、世帯を所得の低い順から並べて世帯数の累積比率を横軸に、所得額の累積比率を縦軸にグラフ化します。均等分布線が横軸・縦軸をそれぞれ1とする二等辺三角形の底辺になり、角度は45度で縦軸横軸で囲まれた正方形を2分します。

 実際の所得格差を現すグラフは曲線になり、ローレンツ曲線と言われます。このローレンツ曲線と均等分布線に囲まれた部分の面積の割合がジニ係数です。均等分布線にローレンツ曲線が近づくほど格差が小さくなります。ジニ係数は0~1の範囲であらわされますが、0というのは、ローレンツ曲線と均等分布線が完全に一致した状態で、格差がない状態です。

 2008年と2011年を比較してみると、当初所得ジニ係数は上昇していますが、再分配によるジニ係数は横ばいです。民主党政権下で改善度は、20%(1999年)から30%(2011年)に上昇してますから、所得再分配が上手く機能していたようです。ところが、世帯主の年齢階級別の所得再分配は必ずしも上手く行っていないことが分かります。2008年と2011年を比較すると、39歳以下、50歳から59歳、60歳から69歳では、ジニ係数が上昇しています。

 先のフィナンシャル・プランナーの知り合いが指摘したのはこの点だったと思います。ただ日本の格差の問題は、「格差感」を視野に入れる必要があると言います。実態の問題と同時に、格差が広がっていると感じているかどうかの問題です。広がって来ていると感じている人は多くなっているようです。2015年5月2日の朝日新聞によると、格差が広がって来ていると感じている人が70%を占めています。私たちが話していて出た「格差は広がっているわよ」という意見は、「格差感」を示していると思います。

 「格差感」を生んでいるものは何なのでしょうか。子どもの貧困問題に象徴されるような格差問題。中間層の縮小、貧困層の拡大・固定化が言われるようになってきています。こういう問題は、やはり不安感を増大させてゆくのだと思います。

 日本の格差問題を考えるとき、年代的変遷と、もう一つは、他の国との比較の視点なのだと思います。この比較の視点は、例えば女性の社会的エンパワーメントの不十分さを指摘するとき、よく引き合いに出されます。私も世界経済フォーラムジェンダー・ギャップ指数を引き合いに出して、日本の女性の社会的・政治的活動の不十分さを指摘したりします。でも、この比較の難しさも感じています。

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名平洞の夕暮れ時、あちこちでカモが眠りに就こうとしていました。

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