宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

愛について1)

 まだ鼻声で、薬のせいか胃がなんとなく不快です。今日は関節の痛みはなくなり、その代わり昼間から猛烈に眠気を感じます。明日から職場復帰します。後は動いていた方が、回復は早いかも。

 ところで、幸福の問題を扱っていたとき、当然、愛について考える必要がありましたが、正直どう切り込もうか、考えてしまいました。愛に冷めて生きているのが現代人と言えるかもしれません。しかし、本当は自分をごまかして生きているだけなのかもしれません。時代の状況が、なかなかロマンチックな気分に浸れなくしている。だから逆にハーレクイン・ロマンスのようなものが流行った(今もそこそこ流行っているのかも)のでしょう。でも、自分であることが奇跡であるように、恋愛も奇跡であったとしても実現するかもしれないものではあります。

 地位や名誉、自分の業績の達成に突き動かされるようになった現代の女たち。それはどちらかというと、感情機能より知性を優先させる生き方であり、恋愛に関して憧れを持ちつつ、どこかで冷めている。愛はいつか冷めるかもしれないし、男は変わらないのだから。女もまた自分の人生の主人公として生きたい。しかし、愛のない人生の空しさにもやがて気づくようになり、不倫や愛人関係をファッションのように纏ったりする。塩野七生が『男たちへ』のなかで恋について述べています。それは「男が上手に年をとるために」で述べられているのですが、これは女にも言えることです。

 「戦術六。恋をすること。

  不倫とか愛人関係とか…(中略)…あそこには、何もかもあるが、恋愛だけは不在である。…(中略)…。

私がすすめたいのは、ほんとうの恋なのだ。そのような恋に出会わなければ、出会うまで、読書をしたり音楽を聴いたりして一人で夜をすごすほうが、ずっと美しい人生のおくり方だと思う。そうしていると、いつか出会う。生きているすばらしさを心の底から味わわせてくれる、ほんとうの恋に出会う」

 塩野七生さんが書くと、うん、そうかもしれないと思わせます。むしろ恋に出会いたいという気持ちを持ち続けるのは、「勇気」なのかもしれません。そうしたらもしかして、「いつか出会う。生きているすばらしさを心の底から味わわせてくれる、ほんとうの恋に出会う」(塩野七生『男たちへ』)のかもしれません。塩野七生の『男たちへ』の中には「女は、ほんとうに愛されるならば、自分もほんとうに愛し返すことは知っている。ただし、ほんとうに愛されることが、いかにまれにしか起こらない幸運であるかも、知っているのである」ともあります。うーん、そうかも。

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