宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

生活いきいきモデル

 13日、結城市鹿窪にある「生きがいふれあいセンター」での介護予防教室に参加させてもらいました。主催は結城市役所長寿福祉課で、作業療法士の川口淳一さんが中心になって行っている、10回でワンクールの介護予防通所リハビリテーションです。川口さんの活動記録や映像を見る機会があり、実際の活動の場に参加したいと思っていました。川口さんの活動を研究テーマにしている方が仲介して下さり、結城市主催の介護予防教室を参加・見学させて頂きました。

 初回のとき、生活を5要素から振り返り、これからどういうバランスにしたいかをおはじきを使って、考えてもらってますと説明され、直感的に「面白い」と思いました。13日は2回目でしたが、前回は来れなくてという方が2人いると言うことで、その方たちへのワークが楽しみでした。7名の出席者さんが揃ったところで、始まりました。始まるまでに、先に来ていた方たちへの川口さんの話かけや長寿福祉課の職員さんたちの出席者への話かけがあって、「何が始まるかな」というような雰囲気が出来ていました。

 初回は指や上腕の体操をやったそうです。今回は手ぬぐいを使った足の体操で、理学療法士の方が指導していました。ゴムのセラバンドなどを使った体操はデイでもやりますが、同じことは手ぬぐいでも出来るので、家でもやれます。その後、お風呂の入り方と衣類の着脱のコツが伝えられ、ゴムひもをズボンのベルト部分にして、お尻から脱いでお尻から穿くと楽であることを、体験してもらいました。私たちも介助のお手伝い。その後、5人と2人に分かれ、新しく参加した2人に、生活いきいきモデルを考えてもらいました。

 下のような図が示されて、生活を5つの要素から考えてもらいます。20代から30代はどうだったか、60代から70代は?今はどうか? 青いおはじきを最高で5個まで置いてもらいます。そこからどういう仕事をやってましたか、どんな遊びをしてましたかなど聞きとりながら、それもスタッフが書きこんでいきます。そして最後に、現在の望みとして、足りない部分で足したいところに、赤いおはじきを置いてもらいます。これも一つの円に合わせて5個になるまで置けます。赤いおはじきは、自分の現在の望みを表現しています。 これらの作業をやりながら、具体的に本人が何をやりたいかが浮かび上がってきます。それに合わせて、介護の方針が示されて行く。

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 介護が措置から自立援助のサービスに変わりましたが、本人の自立の方向性をどう探るのかとか、自立への動機づけをどう引き出すかという、具体的レベルでの方法の開発が課題となっています。この「生活いきいきモデル」という試みは、図とおはじきを使うことで、本人が自分の生活を目でトータルに捉えることが出来、おはじきを置くという手を使う作業をしながら、心も動かしていける。自らの生活への振り返りと、これからへの希望を自分の中で明確に出来る、素晴らしいアイディアだと思いました。

 認知症状を示している方たちに、これがそのまま使えるかどうかは難しいですが、日々の目標を自分で見つけていくためのツールは、何かあるなあと考えました。日常の過ごし方を観察しているスタッフ側からの提案だけでなく、利用者本人の気づきをどうやって引き出していくか、そこのワン・クッションを探そうと思います。

h-miya@concerto.plala.or.jp