宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

ひたちなか市民大学 第5回、そしてバイオエシックスの授業

 6日は、無線技術、特にBluetoothブルートゥース)の話でした。こんなロゴ見たことありますよね。

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  ペアリングして、スマフォをワイヤレス・イヤフォンで使えるというのは、そうかあと思いました。実際にパソコンにマウスをペアリングさせたり、やって見せてくれましたが、自分でやると、いろいろ問題でてくるだろうなあと、ボーと聞いていました。今のところは、Bluetoothが何か、どこを探せばいいかが分かっていればいいという段階です。実際に使いたくなったときは、ググってやってみます。操作可能距離は10メートルくらいだそうです。無線ネットワークの問題点は、電波が届けば、侵入可能な部分で、パスワード設定と暗号化が必要になります。現在使っているマウスもワイヤレスですが、ナノレシーバーをUSBポートに差し込むタイプです。

 昨日(7日)は、看護学校で哲学・倫理の授業をしてきました。バイオテクノロジーの進歩がいろいろな問題を生みだし、バイオエシックスが登場してきた辺りの話です。夏休み前に、少し触れましたが、そのときは、2000年4月23日放映のドキュメンタリー番組「人体改造時代の衝撃」を見てもらいました。2000年に放映された医療の最先端を探る「シリーズ 世紀を超えて」は見ごたえのある番組でしたが、その第1回目です。ここでは豚を使った移植臓器作成の話から始まって、救世主兄弟、人ES細胞研究、遺伝子操作する人間の未来、牛の卵子と人間の細胞融合、クローン人間の問題が取り上げられていました。

 この時点で取り上げられた救世主兄弟は、1990年の事例で、姉娘を助けるためにHLA(ヒト白血球抗原)が一致する4分の1の確率にかけて妊娠出産したアヤラさん一家の話でした。もう一つ、『リメイキング・エデン』を書いたリー・シルバー博士(プリンストン大学)の「人々の欲望がテクノロジーの未来を決める」という言葉が印象に残っています。

 今日の授業で使った映像は、2010年3月28日に放映されたものです。「人体製造――再生医療の衝撃」では、細胞外マトリックス、肝細胞、動物に人間の臓器を作らせる、救世主兄弟、精子製造、クローン人間をめぐる話題を取り上げていました。10年後に取り上げられた救世主兄弟(2005年出産)は、体外受精で作られた受精卵のHLA遺伝子の型を診断して、姉娘と適合するHLAを持つ受精卵を子宮に戻して妊娠・出産した事例でした。ゲノム技術の進歩がもたらした変化です。2003年4月14日に「国際ヒトゲノム計画」はゲノム解読完了を宣言し、2004年10月に完成版の論文が出ています。

 ゲノムというのは、一個の生物体ないしは細胞が持つ遺伝情報の総体。ヒトに固有のゲノムがヒトゲノムで、その実体は細胞核に存在する染色体です。ヒトでは常染色体22組44本と性染色体2本の計46本。染色体とはどういうものかと言えば、糸状の構造体で、ヒストンと呼ばれるたんぱく質の周りにDNA(デオキシリボ核酸)の2重らせんが巻き付いたヌクレオソームを基本単位とした巨大な糸状分子です。このDNAが遺伝子の本体です。ここに含まれる塩基がアデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)の4つで、これらの塩基の配列(シークエンシング)の読み取りが完了したというのが、ゲノム解読完了です。

 テクノロジーの進歩は、人類が経験したことのない領域に足を踏み入れました。欲望や願望はあっても実現しないものには、倫理や道徳は関係しませんが、実現するようになった生命領域の問題に関わる倫理・道徳は、手つかずのまま。私たちは原理的に考えることを避ける傾向があります。肌合いの倫理的なもので生きてきた。技術がここまで進まない時代には、あるいは他の国に追い付け追い越せのときには、自分たちで原理的に考えることを避けても、何とか対応できたと思います。外から来る規範を、参考にして応用することができました。でも、私たちが率先して開発する段階(iPS細胞など)に入っていることを考えるとき、それでは済まなくなっていることを受け止める必要があると思います。

h-miya@concerto.plala.or.jp