宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

高齢者の性

 死ぬまで現役でいたい、とはよく言われます。仕事については、肯定的に語られます。しかし、性の領域では、まだまだあっけらかんとは語られていません。特に、親世代の性の問題は、子ども世代にとっては触れたくない部分ではないでしょうか。

 認知症の深まりと同時に、理性の歯止めを失った、性的言動をするようになると言われます。性の世界は、人間の活力の源でもありますが、社会的約束事を逸脱しやすい領域でもあります。そしてこれも人によって、また認知症の程度によって、いろいろです。自分のイマジネーションの世界でぐるぐる回るエロスの世界、どこかかわいらしいものから、もろセクハラ的言動になる人もいます。この違いは何なのでしょうか。単に、認知症状の重さの違いだけではないと思います。ただ、認知症高齢者の性行動は周辺症状(中核症状に心理的、状況的要因が加わって出る二次症状)ではなく、中核症状(脳の障害から直接的に生み出される症状)の一つとして、アメリカでは認められるようになってきているそうです。

 文化的違いもあるのかどうか。そして例え認知症状を抱えていなくても、高齢者の性の問題は、これから向き合わなければならない問題の一つなのだと思います。

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