宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

憲法のつどい

 今日の憲法のつどいで、ドキュメンタリー映画『不思議なクニの憲法』(監督 松井久子)の上映会を実施しました。見ごたえのある映画でした。若者や女性(主婦、弁護士、フリーター・デモ発起人、アイドル、障がい者で人権活動家)の活動や発言と、識者の発言がバランス良く収録。トータル2時間半(間休憩15分)でしたが、全然眠くならず(ある参加者の感想)いろいろ考えさせられました。最後は「さあ、考え始めましょう」だったと思います。その呼びかけはそのまま、私の私への呼びかけの言葉として残りました。

 本日、安倍首相が、自民党総裁の立場で改憲を明言しました。2020年までに実現したいと。映画の最後で、ただ護憲を言っているだけでは、自民党改憲勢力に対抗できないと言った井上達夫さん(彼は非常に明晰な法哲学者)。彼の『共生の作法』(1986年)は相対主義の問題を考えていた私に、衝撃を与えた本です。彼は、現憲法基本的人権の問題はきっちり守られなければならない、しかし安全保障体制(九条)についてはこのままでは逆に危ない、シビリアン・コントロールの問題などをきちんと憲法に入れていかないと、と述べていました。

 その一方で、憲法学者長谷部恭男さんの「今の安倍政権の下での改憲は危険だ」という見解にも納得します。弁護士伊藤真さんの「憲法には理想が掲げられている。それが現実に合っていないから、改憲というのは違う。理想に向かって私たちは努力してきたし、努力すべき」という見解にも納得します。九条は、カントの『永遠平和のために』の精神の結実したものだと思います。

 どこに落としどころを持ってゆくのか。「さあ、考え始めなければ」。

h-miya@concerto.plala.or.jp