宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

福祉と幸福

 福祉は英語でwelfare。健康で快適な生活を含めた意味での幸福(happiness)を意味します。

 幸福は主観的なものと客観的なものに分かれ、主観的な幸福とは内的満足のことです。客観的幸福は幸運と同義語で、満足を考慮しない達成した目的そのもの、善そのもののようなものです。主観的幸福も立場によって、精神的充実を意味するか、快の充足を基本にするかなど、微妙に定義が異なります。

 三木清の『人生論ノート』には「幸福について」という一文があります。彼は幸福は人格だと言います。そして人が外套を脱ぎ捨てるように、いつでも気楽に他の幸福(富とか栄誉とか)を脱ぎ捨てることのできる人が最も幸福な人だと。

「彼の幸福は彼の生命と同じように彼自身と一つのものである。この幸福をもって彼はあらゆる困難と闘うのである。幸福を武器として闘う者のみが斃れてもなお幸福である」

 そしてその幸福は常に外に現れ出て、他の人を幸福にする、と言われます。機嫌のよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なことなど。

 私の好きな幸福論の一つです。でも、快い暮らし向きを目指すことから始まる福祉もまた、人間の幸福の条件として大切だと思っています。確かに、暮らし向きがよいだけでは、人は幸福ではないのかもしれません。幸福には充実感が大きな役割を持っていると思います。しかし、その充実感は、普通、日々の暮らしに集中できないと得られないでしょう。貧困も私たちの世界では、絶対的貧困状態よりも、相対的貧困状態が問題です。快い暮らし向きとはどういうものか、考えておく必要があると思います。

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