読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

宮内寿子「おはなしのへや」

日々、思うこと。

「国家に貢献…たくさん産んでください」

 9月28日の福山雅治さんと吹石一恵さんの結婚について、29日のフジテレビ番組で菅義偉官房長官が述べた言葉が、取りざたされました。「結婚おめでとう、ママさんたちが一緒に子どもを産みたいという風になるよう、たくさん産んで国家に貢献して下さい」というような発言だったようです。

 ああまたかと思いながら、「産む産まないは女の自由」という言葉を思い出しました。これは、1973年のロウ対ウェイド裁判の判決を紹介するときに多用された表現です。報道時、女性の身勝手を認めた判決というニュアンスで使われたようです。

 この当時、テキサス州法は母体の生命を救う以外の中絶を禁止していましたが、連邦最高裁は、この州法を憲法違反としました。中絶の決定権を女性のプライバシー権として認め、妊娠3か月以内の中絶を合法化しました。このプライバシー権は単なる私生活の秘密を守る権利という以上に、個人の自律権としてのそれです。

 妊娠出産の領域は、デリケートな領域だと思います。産みたくても産めない女性もいるわけで、そこに「国家に貢献」という言葉が重なってくるのはいかがなものでしょう。このような発言に出会うと、人を「人材」「手段」としてしか見ていないのではないかと思います。                        宮内 ひさこ

h-miya@concerto.plala.or.jp